現代社会は感情に振り回されて生きる人間が不利になるように設計されているように感じる。世界は知的な振る舞いを行う人間が、本来の知的な人間を利用したり、大衆をビジネスで釣り上げることで経済を回している。Chat-GPTも普及率が8割を超えてしまい、知性すらも民主化され、更なる知的な争いが上層では繰り広げられている。最早、感情に任せて行動する動物的な人間は社会から搾取されていくように感んじる。無邪気にハートフルな想いを打ち上げるジャンプのような生き方は終わったのではないか。
  その社会に抵抗する最初の試みとして、初恋の人に自身の想いを全力でぶつけて破局した経験に向き合うことにした。感情に振り回されがちな恋愛行為において、好きだという感情を視覚化し、理性的に暴走する恋愛感情を飼い慣らしてみる。トラウマである初恋に対して、誰にも迷惑をかけずに自身でモニタリングできるようになれば、感情から解放された社会を生き抜くヒントが見つかるかもしれない。
 手法として、26 本のサイリウムをランダムに接着剤で合わせて人の心を形作った。恋愛の過程を"付き合う前"、"交際中"、"別れ"の三つに分けてサイリウム(光る棒)の光り度合いを調節したり、色を変えたりすることで、"人間の心"を形にしようとして作ったものである。“付き合う前”は気になっているが、その人のことが好きかわからないということで、3 本ほどサイリウムを点灯させて、淡い恋心を表現した。”交際中”はその人の好きへの気持ちが最高潮に達するなかいおうつことかを表現するため、26 本のサイリウムを全て点灯させて盲目になってしまうほどの心を形作った。最後に”別れ”は育てた恋心が一瞬にして壊れることを表現するために、ピンクの光をベースに構成された心に、青いサイリウムを串刺しにして、真っ青な光が 26 本のピンクの光を上塗りしてしまう心の形を表現した。
 

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