
「遊び」は大人になるに連れて、日常からかけ離れていく行為である。子供達は好奇心と活動力で、肩車、側転、相撲など、大人の世界では経験しないような感覚になる多彩な動きを発展させてきた。これらの「遊び」における身体感覚を最大まで拡張させた際に、日常の光景はどのように変容するのだろうか。
その中でも、でんぐり返しは世界が反転し、別世界に降り立ったような感覚になることを憶えている。また、現代物理学では、一定の回転エネルギーを放った際に、次元を捻じ曲げることができるらしい※1。そこで、人が限界まででんぐり返しをした際に、タイムスリップ、異惑星移動、その果てには魚の環世界を熟知して結婚までたどり着く未来を構想した。
現代に「遊び」の価値を取り戻し、人々の想像を絶する身体感覚を手にする可能性を表明したい。
※1 現代物理では、巨大な天体が高速回転すると周囲の時空がわずかに引きずられる現象(フレームドラッギング)が起きるが、人がでんぐり返しをしても次元が曲がったり時間旅行が起こるには乏しい